今回の勉強会は肝炎についてです(^ν^)
ウイルス性肝炎は肝炎の8割を占めると言われています!
今回は肝炎の基礎とウイルス性肝炎中心にご紹介します。
「急性肝炎」→「慢性肝炎」→「肝硬変」→「肝臓がん」という順番をたどり
肝硬変ともなると黄疸や血管腫が出るなど、はっきり症状があらわれます。
肝炎の原因
肝炎の原因は、ウイルス、アルコール、薬物など様々です。
●ウイルス性肝炎
種類→A型、B型、C型、D型、E型肝炎
A型肝炎
A型肝炎ウイルス(HAV)が原因。経口感染。
症 状) 潜伏期間は約1ヶ月前後(2~6週間)。
成人では一般的に、急激な38℃以上の発熱で始まり続いて黄疸、食欲不振、倦怠感、吐き気など。
重症化や、まれに(約0.5%)高度の肝機能不全と意識障害をもたらす劇症肝炎を起こすこともあります。しかし、5歳以下の小児では、ほとんどの場合症状が現れずに終わります(不顕性感染)。一度感染すると免疫ができ、生涯保たれるといわれています。
原 因) 衛生環境の悪い発展途上国では5歳ごろまでに9割がHAV抗体を獲得すると
いわれています。国内でも、不十分な調理の生牡蠣の摂取や、汚染地域への旅行
後などに発症する場合が多いといわれています。
予防法)食事前には十分に手をあらうこと。海外の水や食べ物は加熱したモノだけを口にするし、渡航前に予防接種をすること!治療薬や特別な治療法はないそうです。
B型肝炎
B型肝炎ウイルス(HBV)が血液や体液(だ液、精液、膣液)を介して感染し、肝障害をきたす疾患
症 状) 潜伏期間は1~6ヶ月。症状としては食欲不振、悪心・嘔吐、右上腹部痛、上腹部膨満感が出現します。また、B型急性肝炎の約2%が劇症肝炎を発症します。
原 因) B型急性肝炎の感染経路は、性行為が55%、針刺しや手術など医療行為に
伴うものが5%、その他は入れ墨、針治療、輸血など。
予防法)予防はワクチン接種。特に伴侶がB型肝炎ウイルスキャリアーの場合や医療従事者はB型肝炎ウイルスワクチンを接種する必要があります。
C型肝炎
C型肝炎ウイルス(HCV)の感染により肝障害をきたす疾患。
症 状) 食欲不振、悪心・嘔吐、右上腹部痛、上腹部膨満感が出現することがあります。
A型急性肝炎やB型急性肝炎に比べて症状が軽いため、大多数の人では自覚症状がないといわれています。
C型急性肝炎は20~40%はウイルスが消えて肝機能も正常化しますが、60~80%は慢性肝炎へ移行します。
慢性肝炎になると初感染から20~30年で肝硬変へ移行し、肝細胞がんを併発するようになります。
原 因) 輸血、静脈からおこなう薬物の乱用、入れ墨、ピアスの穴あけ、針治療、
医療行為に伴う針刺し事故など。
予防法)有効なC型肝炎ワクチンはない。精度の高い核酸増幅検査が導入されたため、輸血によるC型肝炎ウイルスの感染はほとんど見られなくなりました。医療行為に伴う針刺し事故による感染が多いので、医療従事者の感染対策が必要です。
治 療)感染から半年以内にインターフェロン治療を行うと、90%以上の例でウイルスを駆逐することができます。
D型肝炎
B型肝炎ウイルス感染者の数パーセントに重複感染すると言われています。D型ウイルスの複製と増殖にはB型肝炎ウイルスを必要とするため、D型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルス感染者のみに感染し、通常は単独で肝炎を発症することはありません。D型ウイルスはB型肝炎の重症化や劇症化に関与しています。
E型肝炎
症 状)潜伏期間は2~9週間で、発症から数週間で回復し、慢性化はしません。症状はA型肝炎に似ているが、胆汁うっ滞を起こしやすく(約60%)、劇症化の頻度はA型より高いといれています。
原 因) 経口感染が原因、増殖したウイルスは糞便に排泄されます。
予防法)流行地での生水、氷、非加熱食品の摂取はさけること。国内でも野生動物の生肉や豚肉が原因で発症することがあるので十分に加熱して食べることです。
●肝臓病と歯科の関係
肝障害が重度になると、以下の問題が・・・
・観血処置後に出血が止まりにくい状態になることがある。
・肝障害によって赤血球・白血球の破壊を進めるので、貧血や感染症を起こしやすくなる。
・傷が治りにくくなる傾向がある。
・ 肝臓での薬物代謝・解毒機能が低下するので、薬が効きすぎたり、副作用が強く出たりすることがある。また、障害のある肝臓の機能をさらに悪化させることもある。
肥満などが原因で発症する「非アルコール性シボウ肝炎(NASH Non-alcoholic steatohepatitis )」の話
歯周病のNASH患者10人に歯石を除去したり抗生物質で歯茎の炎症を抑えたりして治療すると、3カ月後には肝機能の数値がほぼ正常になったそうです!!!!!!
↑詳しくは次回の勉強会でお話しします^_^
歯科治療は、みなさんが想像する以上に出血を伴う治療ばかりです。
当院では患者さんから患者さんへの感染が起こらないことを念頭に滅菌消毒を行っております。ウイルス性肝炎の既往のある患者さんは、問診の際に必ずその旨をお伝えください。
最後にお話ししたように、歯周病は肝臓病にも関係しています。
日頃からお口の清潔を保ち、定期的な歯科医院でのメインテナンスが大切ですねd(´∀`)
kajimoto