■ 私が患者だった頃のお話「熱いものもしみる・・・?」

プライベートのこと

これから数回、大昔のお話にお付き合いくださいませ。

私が患者だった頃のお話「熱いものもしみる・・・?」 1993年記

私は小さい時から体はいたって健康でしたが、歯医者だけはずっと通っていたと思うほど
よく通っていたと思います。とにかく甘いものが好きで、よく虫歯になっていました。
学校の歯科検診ではたいていC1とかC2の歯を見つけられていたものでした。
でもいつもすぐに歯医者に治してもらいにいってたので、初期のうちに治療でき、
現在もすべての歯を健全に保つことが出来ています。
たいてい1本の歯の治療は1回か2回で終わるような小さな虫歯でした。
しかし神経のない歯は2本だけあります。決して深い虫歯だったわけではありません。

 



そのうちの1本は中学生の時、前の下の歯に白いプラスティックを詰めてもらいましたが
治療後に少し、冷たいものがしみたのです。そこで、先生に詰めてもらった所がしみると
言いました。すると先生は熱いものもしみますかと聞かれた時、冷たいものしかしみなかったのに
熱いものもしみると言った方がきっちりとなおしてくれると思い、「はい」と返事をしてしまいました。
すると小さな穴の治療だったはずの歯を先生は無言でどんどん削り、神経をとられてしまいました。
そして、最終的には前の歯に大きな金属を詰められてしまいました。
歯医者になった後でわかったのですが、熱いものがしみるということは神経が悪くなっていると
診断されます。
あの時、熱いものもしみると言った方がきっちりとなおしてくれると思い、「はい」と返事をしたことは
大きな間違いだったのです。ちゃんと本当のことを言えば、
薬を塗ったりするだけで治ったかもしれないのです。
あれから26年後、あの神経を取った歯が再び痛み出しました。結構うずくので、
自分で金属を削ってはずし
歯の中を何度か消毒して、今度は白いセメントを自分で詰めました。

 



もう1本は歯科大生の時、先輩の臨床実習で、練習台になってあげたときのことでした。
上の前歯の裏側に古い金属が詰めてあったところをきれいに詰めてあげると言われて
別に痛いわけでもなく虫歯でもなかったのですが、信用して詰めてもらうことにしました。
臨床実習では、こなさなければならないノルマがあり、きっとそのケースにピッ
タリだったのでしょう。
ところが、治療中に削りすぎてどうやら神経にあたってしまったらしいのです。
次の日から、ズキズキとうずき始め涙がでるほど痛くなりました。
そして先輩に見てもらいにいったら、神経の治療は臨床実習のノルマではないため
時間の無駄だと判断され(私の推測ですが)別の先輩へまわされました。
そこで、神経をとってもらい何度か通って白いプラスティックを詰めてもらいました。
あれから20年以上たちますが、これも時々プラスティックがはずれます。
神経をとった歯はやはり弱くなっているみたいですね。

 



そういうわけで、これらの2本だけが神経がないのです。
でもおかげで、神経の炎症による激しい痛みというものを経験できたことは
やはり先輩のおかげだったということでしょう。
初期治療を心がけ痛い思いをすることを知らなかった私に、患者さんの苦痛を体
験させてくれました。  ありがとうございました。
そして、嘘をついてまで、特別扱いしてもらおうというあつかましい思いは死を
招くということも身をもって体験しました。
あの時の先生はまだお元気でしょうか?

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