役に立つ細菌やウイルスがあることを知っていますか?
細菌は目で見ることができない小さな生物で、栄養源さえあれば自分と同じ細菌を複製して増えていくことができます。
人の体に侵入して病気を起こす有害な細菌もいる一方で、人の生活に有用な細菌、例えば納豆菌、また皮膚や腸内環境を整える細菌もいます。
ウイルスは、細菌の50分の1程の大きさで自分で細胞を持たないので、ヒトの細胞の中に入って自分のコピーを作らせ増殖していきます。
大きさを例えると、ヒトが地球、細菌が像、ウイルスはネズミの大きさです。
ヒトに病気を起こす事があるウイルスとして、インフルエンザ、ノロ、コロナなどが知られています。
風邪はさまざまなウイルスが原因となります。
今まで病原体の塊と思われていたウイルスが、実は人の胎児を守っていることが明らかにされ、人々に衝撃を与えました。
母親の免疫系にとっては父親の遺伝形質は異質な存在であり、普通であれば免疫反応によって胎児内の父親遺伝形質を拒絶しようとするはずです。
ところが、拒絶反応の担い手である母親のリンパ球は、一枚の細胞膜によって胎児の血管に入るのを阻止されています。
一方でその細胞膜は、胎児の発育に必要な栄養分や酸素の通過は遮らなく、謎でしたが、人内在性レトロウイルスのシンシチンというタンパク質の作業により作られていることがわかりました。
病気の原因とみなされていたウイルスが、人間の存続に重要な役割を果たしていたのです。
また、ウイルスが影響を与えるのは人だけではありません。
働き蜂は、外敵が現れた時に女王蜂を守るために攻撃する蜂と逃げ出す蜂がいるそうです。
この違いは脳内がウイルスに感染しているか否かだそうです。
このウイルスに感染している蜂は死を覚悟して攻撃行動にでるのです。
ちなみにこのウイルスはカクゴ(覚悟)ウイルスと命名されています。
その他にも、ガンと闘うウイルスから、植物に干ばつ耐性や耐熱性を与えるウイルス、CO2の蓄積や雲の形成に関わるウイルスまで様々な役割があり、これらはまだ氷山の一角にすぎず、人や家畜にかんするウイルスのみ研究されています。
そんな微生物と人類との関わり方は次の4つに分類されます。
1,宿主が微生物の攻撃で敗北して死滅する。
致死率の高いラッサ熱、エボラ出血熱がこのタイプです。恐ろしい感染症だが、一方の微生物も他の宿主に移らない限り、宿主と運命を共にして死滅するので、リスクはおおきいが、結果的に局地的、短期的な感染に落ち着くことが多い。
2,宿主側の攻撃が功を奏して、微生物が敗北する。
すでに根絶した天然痘のほか、ハンセン病やポリオ、黄熱などがこのタイプで、ワクチンや治療薬あり予防や治療が可能です。
3,宿主と微生物が和平関係をきずく大腸菌や乳酸菌、酪酸菌など人にとって欠かせないパートナーとなった常在菌もあります。
4,それぞれに防御を固めて、果てしない闘いをくりかえす。
代表的なのはヘルペスウイルスです。水ぼうそう、口唇ヘルペス、帯状疱疹です。
これらは症状が治まっても、ストレスや疲労、妊娠や免疫力低下などをきっかけに再び暴れだすのが特徴です。
新型コロナは社会問題になっていますが、いいウイルスがあるということに、ウイルスの存在意義があるのかもしれません。