歯科口腔外科
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口腔外科(こうくうげか)とは
一般歯科は虫歯や歯周病の治療するのに対し、口腔外科は口の中や周囲(頬や唇など)に現れる外科的疾患を治療します。
具体的には親知らずなどの抜歯、虫歯や歯周病などが悪化して生じる膿瘍、口の中の腫瘍、顎の調子が悪くなる顎関節症、交通事故やスポーツなどの外傷、インプラントの治療などです。
その他にも、口の中が乾く口腔乾燥症、その他の口腔粘膜疾患、神経性疾患など、内科的疾患を診断・発見し、内科などと連携して治療します。
詳しく知りたい方は日本口腔外科学会のホームページをご覧ください。
抜歯、親知らずの治療
抜歯は何のためにするのか?
歯をいくら治療しても、痛みや腫れが繰り返す場合の原因や苦痛を除去するための方法として抜歯があります。
また矯正歯科で歯を並べるスペースを確保するためや、他の歯の治療の妨げになる歯を除去するため、また健康な親知らずを虫歯の歯の代わりに移植するために抜歯することもあります。
基本的には虫歯や歯周病が重症化し、顎骨の炎症、蓄膿症の原因になっていると、顎骨の健康状態を維持・改善するために抜歯することになります。
親知らずの抜歯は必要なのでしょうか?
よく聞かれる質問ですが、答えは症状によるです。
親知らずは遠い祖先の名残の歯と言われており、骨格や食生活の変化したホモサピエンスでは骨のなかに埋まったままの歯(埋伏歯)も少なくありません。
一番奥にあって磨きにくいため、虫歯や歯周病になりやすく、全身状態が健康であれば抵抗力で感染を抑えているのですが、ストレスや病気、女性であれば妊娠や出産のときに抵抗力が下がり、腫れて痛むことがあります。
通常の腫れであれば消毒と抗生剤の投与で一旦は治りますが、一度でも腫れると繰り返すようになります。
また炎症が広がっていくと、下顎の奥の方は解剖学的に腫れやすい構造をしているため、大きく顔が腫れ上がったり、喉が痛くなったり、稀なケースですが気道が閉塞して窒息するという、最悪の事態もありえます。診療所レベルでは手に負えなくなり、総合病院での専門的な治療や入院が必要になることも少なくありません。
また妊婦だと投薬が胎児に影響する可能性があり、治療が困難になるケースもあります。
埋まっている親知らずに対する治療方法は、基本的には抜歯以外ありません。
しかし埋まり方によっては経過観察した方がよい場合もあるため、その場合は手術のリスクも考慮した上で、無理に抜歯しません。
当院ではレントゲンやCTによる画像診断、診察により、抜歯が必要と判断された場合は連携している総合病院の歯科口腔外科へ紹介させていただきます。
親知らずが気になる方は、一度ご相談ください。
顎関節症、顎関節脱臼の治療
口を開けにくい、口を大きく開けると痛む、耳の前で音が鳴る。
上記の症状は顎関節症の特徴です。女性にやや多く、20才代と40才代以降に多くみられます。
今まで顎関節症の主な原因は、噛み合わせであると考えられてきました。しかし最近の研究では嚙み合わせは大きな要因ではないことが分かってきています。根本的な原因はまだ特定されていませんが、
「噛み合わせによる顎関節への負担」、「日常生活上の動作(頬杖、歯ぎしりや食いしばり、姿勢、硬いものを好む食生活など)」、「解剖学的な構造」、「精神的ストレスからくる顎関節周囲の異常な緊張」、「外傷による損傷」等、顎に負担をかけることが原因となっていると考えられています。また下顎の位置が正常な位置に戻らなくなること、いわゆる顎が外れることを顎関節脱臼といいます。
当院ではCTやレントゲンによる精密検査、理学療法、スプリント(コンパクトなマウスピース様のもの) による保存療法を行っております。何症例については専門機関へご紹介させていただいております。
外傷の治療
歯が強い衝撃を受けると、歯の神経が死んだり、歯が折れたり、抜けたりすることがあります。
昔は交通事故による歯や顎の外傷が多かったのですが、近年はエアーバッグの発達で随分と少なくなりました。逆に少子高齢化社会を反映するかのように、高齢者の転倒や転落での受傷が増加傾向にあります。また幼児や学童では、遊戯中の転倒や子ども同士の衝突が多く、成人では、硬いものを噛んだり、喧嘩や交通事故にあったりして受傷することもあります。
当院では歯や顎の外傷に対して、CTやレントゲンによる画像検査を行い、専門的な診断・治療を行うことが可能です。また顎骨骨折など、手術が必要な高エネルギー外傷と診断された場合は、連携している総合病院の歯科口腔外科へ紹介させていただきます。
歯の外傷では治療後、何年もたってから歯根の先に病巣をつくったり、歯根の吸収や動揺をきたして脱落することもあるため、定期的に検診を受けていただけます。
意外に感じるかもしれませんが、顎や歯を打った場合、まず脳神経外科などで脳に外傷がないか調べましょう。
よく歯や下顎しか打ってないから大丈夫、とおっしゃる方がいるのですが、ボクサーやラグビー選手ですら顎を打たれると脳震盪などの脳へのダメージで倒れます。重症のときには硬膜下血腫などが起こっていることがあり、命に関わることもあります。
歯が折れたり、抜けたりすることで歯科医院を真っ先に受診したくなりますが、まずはご自身の命の安全を確認してください。
口の中や外のできもの(腫瘍、嚢胞、粘膜疾患など)
口の中の口内炎が治らない、唇や歯茎にできものができている。
だけど痛くないから様子を見ている、お医者さんに診せたいけど何科に行けば良いかわからない。
このような経験はありませんか?
多くの場合は虫歯や歯周病、入れ歯を原因とする一時的な症状ですが、時には難治性の病気である可能性があります。
粘膜や歯肉が盛り上がる病気を腫瘍(しゅよう)、中に水がたまる病気を嚢胞(のうほう)、膿がたまっている状態を膿瘍(のうよう)といいます。
腫瘍や嚢胞は基本的には放置しても治りません。膿瘍は膿の原因(大抵は虫歯や歯周病)が治るか、抜歯すると治ってしまいます。
問題は前者で、痛みの症状が伴わないことが多く、気が付けば大きくなっていて手の施しようが無くなる場合もあります。
もちろん良性腫瘍や腫瘍に見えるけど腫瘍ではない病気(ウイルス疾患や粘膜の荒れ、口内炎)である場合もあり、経過観察になることもありますので、戦々恐々とする必要はないのですが、悪性腫瘍は命に関わるので早期発見、早期治療が求められます。
歌手の堀ちえみさんが舌がんの大手術を受けてカムバックした話や、元二子山部屋の貴ノ花親方、元チェッカーズのクロベエこと徳永善也さんなどが口腔がんで亡くなった話をご存じの方も少なくないかと思いますので、心配にはなりますが、心配しすぎる必要もありません。
なぜなら口腔がんは目に見える場所にできやすく、早期発見しやすいからです。
当院では腫瘍や粘膜疾患などに対して、総合病院や大学病院等、専門機関にご紹介させていただきます。
もし気になる口の中や外の症状があれば、ご連絡ください。