Q,ミラクルデンチャーそのものによる悪影響は? 30代男性 130526

ミラクルフィット, 入れ歯(義歯)

Q、林先生、初めまして。

以前からHPだけは知ってましたが、改めてミラクルデンチャーについて質問させてください。
以下は、理想的なメンテナンスを行い、虫歯・歯周病などによる口腔内の問題が起きなかったと仮定します(ミラクルデンチャーそのものの特性を浮き彫りにするため)。

上の左側が2本欠損、右が1本欠損しています。
現在、ミラクルデンチャー導入を真剣に考えています。

しかし、気になるのはデメリットです。
費用の方は問題ありません。
問題は歯や歯茎(と歯槽骨)に与える影響です。
クラスプデンチャーが支持歯へ悪影響(ぐらつき)を与えることは有名です。

私にはどうしてもその悪いイメージがこびりついています。
「十年後に実は支持歯が痛んでいた」ということがないか心配なのです。

実際に患者さんの臨床から得た感触として、ミラクルデンチャーそのものによる支持歯への影響はどのようにとらえていますか?
たとえば、「二、三年使っていて支持歯へ有意な悪影響がないので、十年後、二十年後も
同様にミラクルデンチャーそのものによる悪影響はないことが推測される」というようなことはありますか?

もう一つは歯茎(と歯槽骨)への影響です。
抜歯すれば歯槽骨が年々、徐々に吸収されることは自然です。

ノンクラスプデンチャーは、それだけでなく、歯茎に圧力をかけてしまうために歯槽骨の吸収を促進してしまうという悪影響があります。
「歯槽骨の自然な吸収」+「ノンクラスプデンチャーの物理的特性による吸収(←悪影響の部分)」
ミラクルデンチャーにもノンクラスプデンチャーのような歯茎への悪影響はあると思いますか?
もしあった場合、これまでのノンクラスプデンチャーと比べてどの程度おさえられていると感じますか?

難しい質問かもしれませんがよろしくお願いします。

A,メールでのお問い合わせありがとうございます。
    林歯科医院の林です。


まず、ノンクラスプデンチャーは、金具がプラスティックに変わっただけで、力学的にはクラスプデンチャーと同じです。


バルプラスト、スマイルデンチャーなどの、ポリアミド(ナイロン系)は、弾力があるため、
そのたわみを利用して歯にひっかけ、その弾力により歯肉への力が大きくなります。
またその弾力により割れる心配はありません。
入れ歯の出し入れは、ほとんど上下方向で、材料のたわみを利用して歯に止めます。


では、ミラクルフィットは何が違うかというと、出し入れの方向は、斜めか横方向になります。
とても複雑な出し入れ方法ですが、その分強い力は不要です。


出し入れ方法が複雑なため、装着された入れ歯は動かず、入れ歯と、歯と、歯茎が一体となります。
一塊になることで入れ歯は動かず、支持歯へぐらつきを与えません。


入れ歯が歯を固定し、歯と歯茎が入れ歯を固定しているという状態です。
ここがものすごく不思議なところですが、とても高度な技術が必要です。


常に100点満点を目指すわけですが、ケースによっては数回の調整が必要な場合もあり、時には80点くらいの時もあると思います。

しかし、たとえ80点だとしても、皆さんに喜んでいただき、これまでのノンクラスプデンチャー以上のものだと私は思っています。
(ただし、スマイルデンチャーを大変推奨している有名な先生もおられますので、そちらも参考にしてください)


ミラクルデンチャーの中でも、さらに金具の少ないものをミラクルフィットといい、値段も安く、
調整もやりやすいので、林歯科医院では、こちらをお奨めしています。


デメリットは、時々調整が必要になることがある点と、消耗品だということです。
しかし今のところ、2010年の4月の第1号を初め、8割以上の症例で、初期の調整の終了後は、一度も調整することもなく、
歯のメンテナンスに通って頂いています。


もちろん、破折による修理や緩くなったことによる調整も1割くらいの方に行っています。
しかし劣化によろ再製作は今のところまだありません


動いている歯を、無理して残して支持歯にしてミラクルフィットを作成したケースでは、
抜歯して歯を継ぎ足したものはありますが、動揺のない支持歯が悪化したものも今のところありません。
(かぶっていた支持歯の根が歯折して抜歯したものは1症例あります)


十年後、二十年後のことは、20年前のインプラントと同じように予測はできませんが、定期的な修理や新制を繰り返すことで、おそらく長期間支持歯を悪化させずに持たせることが出来ると予測しています。

参考になりましたでしょうか?

 

 

お返事をいただきました。
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ミラクルデンチャーの質問にお答えいただき、まことにありがとうございました。

貴重なご意見で大変参考になりました。

もし、欠損部の歯茎(歯槽骨)への悪影響がないかどうかについても、将来、考えがまとまった時にご解説いただけると幸いです。

念のために質問させてください。

ミラクルデンチャーをファイバーコアの入った義歯に装着しても問題ないでしょうか?
通常、ファイバーコアはブリッジや部分入れ歯の支持歯としても耐えられる強度を持つと聞きます。
それでも天然歯よりは劣ります。
ミラクルデンチャーは従来の部分入れ歯とは違って、支持歯に悪影響を与えないので大丈夫だろうとは思いますが、ファイバーコアを入れた歯に何らかの不都合を引きおこした事例はありますか?
(ファイバーコア自体に不備があった場合を除いて)

 

A、さて、再度のご質問ですが、

欠損部の歯茎(歯槽骨)への悪影響は、全くないとは言えないとしても、他の方法より
は悪影響ないはずです。

ファイバーコアを入れた歯に何らかの不都合を引きおこす心配もありません。

ご安心ください。

 

 

 

 

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