「酸蝕歯」 (さんしょくし) Tooth Wear- 虫歯じゃないのに歯が溶けるお話です -
歯は硬そうに見えますが、食べ物や飲み物で溶けることがあることをご存知ですか???。
実は、歯は pH5.5 以下の酸性度の高い飲食物で溶け出します。 ええ!!
pH5.5 以下 の飲食物とは・・・・・・・
コーラ・オレンジジュース・スポーツ飲料などの清涼飲料の多くはクエン酸かリン酸が含まれ、酸性度が高いため、歯が溶け、酸蝕歯の原因となります。
その他に、乳幼児用イオン飲料、ビール、ワイン、飲泉(温泉を飲むこと)、ビタミンC剤。
さらに、・・・ 健康のためのお酢やレモン、グレープフルーツ、オレンジなどの柑橘類も歯を溶かすのには驚きです。
また、拒食症、過食症、胃食道逆流症による胃液の逆流も胃液の酸で歯を溶かしやすくなります。
以下は典型的な酸蝕歯の写真です!
↑健康のために2年間黒酢を習慣的に飲み続け、きれいな歯が酸でデコボコになってしまいました。(痛みはないことが多いです。)
露出した象牙質は溶けやすいため、池のようにへこんでいます
↑ 夏みかんを数年間食べ続けていたため、前の歯がすべて溶けてしまいました。体にいいと思っていたのに・・・!
柑橘類や梅干の大量摂取や胃液の逆流でも同じことがおこります。
●酸蝕歯の予防と治療
このように、多くの食べ物が歯を溶かす原因になりますが、ある程度までは問題ありません。
しかし、これが毎日の日課になれば注意する必要があります。
健康のためのお酢を毎日飲むのであれば、口の中で長く置かず、すぐに飲み込むか、ストローを口の奥にあてて飲むなど、飲み方を工夫して、摂取時間を短くすることが大切です。
また酸性度の高い飲食物を食べた後は、歯の表面が酸によって軟らかくなるので、摂取直後に歯をみがくと、歯が簡単に擦り減ってしまうので、お茶や水などで口の中を中和するか、できれば30分以上たって唾液の働きで、歯の表面がもとに戻ってから行うようにしましょう。唾液には口の中を元に戻す働きがあります。
このように唾液はとても大切ですが、寝てしまうと唾液の分泌が減少するので、寝る前にこのような歯を溶かすものは避けるべきです。
また、最近の多くの子供達が口で呼吸するため、口の中が乾燥し、酸性になった口の中を唾液で薄めることができず、さらにpHが下がり酸蝕歯になりやすくなるので注意が必要です。
口を閉じて鼻で呼吸する練習が必要です。鼻炎があり鼻で呼吸しにくいようなら治療が必要です。
私の経験では、酸蝕歯は健康志向の人によく見かけます。体にいいものを毎日摂取することが、逆に歯を痛めてしまうことはとても残念なことです。
一度、歯の表面に異常がないか、チェックを受けることが大切です。
治療としては、酸蝕歯は酸によって歯が溶かされているため、溶けた部分を修復することで治ります。
それほど進んでいない場合は、それ以上進まないように習慣を改めることが必要です。
この、酸蝕歯のお話は、大切なことなので、同じ内容ですが 『歯のまめ知識』のページ にも掲載しました。