前歯 薄い歯肉についてのSRP
前歯や薄い歯肉はデリケート!
退縮が起こりやすい歯肉の特徴、ケア方法など紹介します。
まず、、
SRP とは、簡単に言うと、歯肉の中に入り込んでしまった歯石や炎症組織を専用の器具でかき出すことをいいます。
汚れを取り除いて炎症がなくなった結果、組織が収縮し、厚みの薄い歯肉は退縮します。
SRP後の歯肉がどのように治癒するか予測を立てて、患者さんに同意を得てからSRPをはじめましょう!
前歯は患者さんがよく見るところで、歯肉の治癒を実感できてモチベーションUPにつながりやすいところです。
まずは薄い歯肉を理解しましょう。
歯肉は2つのバイオタイプに分けることができます。
●薄い歯肉(thin scallop type)
歯頸線は大きく波打っており、
このような歯肉は歯周病でなくても歯肉退縮がおこりやすいといわれています。
●厚い歯肉(thick flat type)
歯頸線は直線的です。厚みのある歯肉は歯肉退縮をおこしにくく、SRP は付着の獲得で治癒するため、見た目での変化はおこりにくいです。
歯肉退縮の原因
『過度なブラッシングなどによる外傷性のもの』
『細菌の感染による炎症性のもの』
『歯肉や歯槽骨が薄い。小帯の付着異常、歯列不正など先天的な問題により生じるもの』
またはこれらの複合型。
薄い歯肉を SRP するとき、誤った操作で歯肉を傷つけてしまうと、外傷性の歯肉退縮を助長させます!SRP 後は過度なブラッシングによるさらなる歯肉退縮を起こさせないように、セルフケアのチェックを行い、患者さんの理解を深める指導が必要です。
歯列不正がある場合、唇側に位置している部位は歯槽骨の裂開が生じていることがあります。
歯肉が薄くなくても歯槽骨に裂開が生じていると、歯肉退縮を起こしやすいため、位置異常歯の SRPやブラッシング指導は薄い歯肉と同様に注意が必要です。
スケーラー操作と選択
薄い歯肉の SRP ではブレードが細くなったスケーラーを選択します。新品の太いブレードは避けます。最も歯肉が薄い唇側中央部は、水平ストロークが有効です。
(挿入方法)
水平ストロークが有効。
①無理に押し込まずに丁寧に 0 度挿入します。
トゥから丁寧にヒールまで挿入し、歯石の下まで到達させるもの
② スケーラーのトゥを根尖側に向けたまま、ブレードの先端 1/3 が歯面から離
れないように意識を集中させ、細かくpull のストロークをします。
水平ストロークは下顎前歯に現れやすい狭いポケットにも有効です。
狭いポケットの場合、ブレードが細く長いスケーラーを使用します。
垂直ストロークではポケット底まで到達しにくいです。歯石を取り残しやすいポケットの形態でも水平ストロークではスケーラーのつま先がポケット底に到達しやすいので取り残しが少なくなります。
歯肉退縮を抑えるポイントとしては
1、歯肉に合ったスケーラーの選択
2、0 度挿入
3、細かく回数の少ないストロークです。
歯肉のタイプにより使用する器具や指導方法など変わってくるので、しっかり見極めることが大切ですね!
Kajimoto