乳歯の形態異常について
乳歯の形態異常について
○エナメル質形成不全
エナメル質形成不全は、生まれつき歯がデコボコしていたり粗造で、欠けたり、黄色や茶色などの変色がみられる状態のことをいいます。
乳歯や永久歯にもみられ、その部分は歯の質が弱くなっています。
前歯にできる場合はそこから虫歯になる可能性は低く、主に見た目の問題になります。
奥歯にできる場合は虫歯になりやすく、進行が早いです。
しかし、たとえエナメル質形成不全という診断を受けても適切に治療したり、毎日の正しいブラッシングに加えて歯科医院での定期検診や高濃度のフッ素塗布で十分虫歯予防が可能です。
○癒合歯
癒合歯は隣り合う二つの歯胚(歯のもと)が成長する過程でくっ付いてしまった結果、二本の歯が癒合した状態で生えてきます。
乳歯に出現した癒合歯は、その後生えてくる永久歯の欠如や永久歯の癒合歯がみられる確率が高くなります。
癒合した境界が溝になっており、プラークが付着しやすく虫歯になることもあります。
また、歯根が大きいため、生え替わりの時期が正常でないことが多いです。
定期検診では、永久歯の生え替わりが開始する5~6歳頃にレントゲンを撮って、永久歯の有無を確認し、今後起こりうる噛み合わせや歯並びについて予測を立てながら、経過観察をしていきます。
○切歯結節
切歯結節は前歯の裏にある結節が異常に発育隆起した原因不明で非常に稀な形態異常です。
将来永久歯に同じような結節がある可能性は極めて低いです。
切歯結節が大きいと、噛み合わせて強い力がかかった時に折れて、神経が露出し、痛みがでることがあるため、治療としては、樹脂のような素材で結節の周りを補強することもあります。気づかないうちに折れていることもあるため、毎日の仕上げ磨きで観察してあげてください。
こうような形態異常の原因は、はっきりと分かっていませんが、歯の発育時期に起きた異常で遺伝的な見方や母親の栄養不良だといわれています。
というのは乳歯と一部の永久歯は赤ちゃんが母親のお腹の中にいる間から作られます。
赤ちゃんの歯のもとである“歯胚”が作られ始めるのは およそ妊娠6~7週頃で、この時期に母親の栄養障害(カルシウム、リン、ビタミンA.C.D欠乏)や代謝異常や内分泌異常(甲状腺機能疾患等) 妊娠初期感染、特定の薬物継続投与、ホルモン異常などで歯の形成、成長が一時的に阻害されることにより形態異常が起こるといわれています。
妊娠6~7週頃は悪阻などでしっかり食事を取ることが難しいかもれません。
神経質にならなくてもバランスよく食べれば赤ちゃんの丈夫な歯は作られます。
是非下記の栄養素を参考にしてみてくださいね。
タンパク質~歯の基礎を作ります
あじ、卵、牛乳、豆腐
カルシウム、リン~歯の石灰化を助ける
ひじき、チーズ、しらすぼし、米、牛、豚
ビタミンA~エナメル質を作る
レバー、ほうれん草、にんじん
ビタミンD~カルシウム代謝、石灰化に影響
バター、卵黄、牛乳
ビタミンC~象牙質を作る
みかん、さつまいも、ほうれん草
Nomura